ルードウィヒ・B / 手塚治虫

待ち望んでいた一冊が入荷しました。漫画家の巨匠、手塚治虫が晩年に描いたルードウィヒ・ヴァン・ベートーヴェンをテーマにした作品「ルードウィヒ・B」です。 そもそも手塚治虫氏のお母さんは宝塚でピアノの先生をしていた人であり、氏本人もプロ並みの腕前を持ち、出版社のパーティーなどでリストのハンガリー狂詩曲を披露するほどであったことから、この作品の誕生は必然であったのでしょう。それ以前にも「ブラック・ジャック」ではピアニストの患者が登場するし、「アドルフに告ぐ」では、しばらく調律してないピアノをバイオリニストが触って「これなら大丈夫でしょう」などというやりとりも見られるなど、様々な作品にクラシック音楽にまつわる話題が登場します。 この作品はベートーヴェンが主人公ではありますが、オリジナルのキャラクターも加わり、巨匠が生前テーマとしていた「生きる」を18世紀のフランス革命を引き合いに出したりもしながら、貴族社会の中で平民のベートーヴェンがどう立ち回るのかが描かれます。作品中、音楽は物語を進めるための要素の一つでしかないものの、ベートーヴェンの力強い生命が源であることが豊かに現れています。そして、手塚治虫の音を視覚的に表現する技術が素晴らしく、音は聞こえてこないものの、まるで音を肌で感じるようです。 残念ながら、作品の連載半ばに作者が他界してしまったため、物語中のベートーヴェンがどういった人生を送るのか知る由はありませんが、そこまで集められたキャラクターや史実に基づくベートーヴェンの生涯を照らし合わせてその後を想像するのも楽しみの一つですし、また、大まかな流れは史実に沿っているので、ベートーヴェンが作曲家への道をどのように歩んでいたのかを知るという、クラシック音楽の入り口としても大変良い読み物になります。ベートーヴェン以外にも大物作曲家が登場したり、彼を取り巻く人物にも実在した人物が多いので、どこまでがリアルなのかを調べるのも楽しいです。 個人的には、ベートーヴェンの父ヨハンが息子にかける情熱を訴えるシーンが、当人の普段の姿とのギャップもあって胸を打たれました。人間関係や容姿など、歴史から得られる情報をふんだんに取り入れているので、とても勉強になりますよ。 ぜひ一度手にとってお読みください。未完なれど、名作です。 商品ページはこちら
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恋はいつも未知なもの/村上龍

先日のブログで少々話題に出した本の紹介です。「限りなき透明に近いブルー」、「コインロッカーベイビーズ」などで有名な作家村上龍氏の純文学で、都会のビジネスマンのショーストーリーにジャズスタンダードナンバーの歌詞を絡める短編集です。 本編もさることながら、注目すべきはこの単行本の一番最後に寄せられたエッセイ。書いたのは大橋巨泉氏。今となっては故人ですが、昭和中期にジャズの訳詞家、評論家として名を馳せたこともある筋金入りのジャズ通です。当店オススメの野川香文氏の「ジャズ楽曲の解説」もそうですが、リアルタイムでジャズの全盛期を見てきた人の話は面白いのです。そして、大橋氏と村上氏の持つジャズの視点のギャップもおもしろいのです。たった数ページの巻末エッセイですが、「テレビの司会者だった人」がこんなにもジャズを語るのかというギャップを楽しみました。 本編と合わせてお楽しみくださいσ(^_^;)。 商品ページはこちらです。
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日本の提灯ブルース

フランスのシャンソン作曲家、チャールズ・ボレル・クラーク(Charles Borel-Clerc、1879-1959)による1920年頃の作品です。歌詞の内容がわからないのでなんとも言えませんが、音楽的には西洋音楽です(^^)。 チャールズ・ボレル・クラークは父親の勧めで電気技師になるための勉強をしていましたが、その父親の縁で出会った音楽の先生の勧めでオーボエの演奏を学び、1年後にはコンセルヴァトワールの入学試験に合格します。 残念ながらクラシック音楽家への進路は断念しますが、シャンソン作曲家としては大成功し、1940年代には150万部の楽譜を販売するに至りました。 この曲が作曲された1920年頃は、ジャポニスムがまだ健在であった頃であることから、セールスを目的とした流行歌であった可能性もありますが、先入観抜きに、フランスの明るい曲調が馴染める作品です。提灯の漢字が意味不明なところも面白いですね。 お部屋のインテリアにいかがですか? 額縁に入れて飾るのも素敵だと思います。 JAPANESE LANTERNS BLUES (Les Fleurs de la Nuit)の商品ページへ (ちなみにこのブログでのタイトルはふざけて直訳したものですσ(^_^;)。昔、ルイ・アームストロングの「West End Blues」が「西の果てのブルース」と訳されていたことを、大橋巨泉さんがジャズのエッセイでネタにしていたのを思い出しました。そのエッセイについてはまた後日ご紹介します。)
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ヘンレ社のブログが知識の宝庫

ラヴェルの楽譜のことをいろいろ物色していたら、たどり着いたのがドイツの楽譜メーカー、ヘンレ社のウェブサイトでした。この記事ではラヴェルも参加したという作曲家コンクールのお話でした。 まさか、本当に現地に行くなんて現実的ではありませんが、Googleマップで見つけて、ストリートビューで近所を徘徊してきました。世界の楽譜ブランドにしては落ち着いたたたずまい。その飾らないスタイルから会社の方向性がにじみ出ているようにも感じました。いつか本当に行ってみたいです。
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過去記事アーカイブ

スタッフさんに指摘されて初めて気がついたのですが、今まで当サイトには過去記事を閲覧するための機能が全くなかったのでした。 まあ、なかなか万能なサイトなどは作れませんが、気がついたものについては改善していくつもりです。
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ボードに古楽譜を貼りました。

店舗のピアノの日よけに使っているボード。ただそこに置いてあるだけというのもなんなので、看板にすることにしました。 お店の楽譜の中には、商品化の難しい傷んだ物もあります。これらの楽譜をボードに貼って飾ってみました。そして、このあと字を書いて看板にしようと考えています。
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