ビル・エヴァンスの左手(ソロピアノ)
ビル・エヴァンス IN YOUR OWN SWEET WAYの楽譜のサンプル映像を作りました。Alone(Again)収録の同曲の5分40秒あたりからの演奏を抜粋したものです。あちこちで言い訳しているのですが、エヴァンス本人の演奏はテンポ185くらいの速い演奏なのに対してつたない演奏で失礼します。ぜひ楽譜をご購入いただき、この動画より素晴らしい演奏を披露していただければと思います。
さて、この採譜からエヴァンスのソロピアノでのスタイルを一つご紹介いたします。
大譜表の下の譜表に注目していただくと、ところどころ左手が2声に分かれているのがわかるかと思います。このようにエヴァンスはインプロヴィゼーション中、右手のメロディを弾くパートとコード、ベースの3つのパートに分けて演奏していたようなのです。いわゆるフィンガーペダルという奏法ですね。
ラジオのインタビューで、ソロとトリオのどちらが好みかとの問いに「ソロが好きだけど自分はそこまで技術がないから」と答えていますが、いやいやいやいや、十分複雑なことをしていますよ。
まあ、ポリリズムや独特なリハーモナイズなどの難解な音楽を即興で作るだけの能力があるのだから、「そのくらいはやるよなあ」というあたりまえ感もありますが、世界に名をとどろかせたピアニストはさすが偉大です。