ビル・エヴァンスの様に演奏する5つの方法(後編)
2011年にアメリカのキーボードマガジンに掲載された記事の和訳です。こちらは後編で、前編はこちらです。
4. 内声の動き
エヴァンスがしばしば使用した内声の動きは対位法の技法を持ち込んだものでした。
Ex. 4aはエヴァンスがマイナーコード上で好んで使用した奏法の例です。
内声の5度の動きに注目してください。
5, #5, 6, b6, そして5へと動きます。
右手は短三度インターバルの半音階上昇で、いかなるコード進行の上でも機能します。
Ex. 4bは ii-V-I進行での内声の動きを示しています。
エヴァンスは16分音符と16分の三連符を最初に取り入れたジャズピアニストの1人でした。
5. ロックハンズテクニック(ブロックコード)
エヴァンスはときおりジョークで自分のことを「“king of the locked hands.” 」と呼んでいました。
この手法を最初に開発したピアニストは、ナット”キング”コールとジョージ・シアリングなどで、
four-way close chord voicingsのトップノートをオクターブ下の同音とで囲うというものでした。
エヴァンスは four-way close chord voicingsの2番目の音をオクターブ下げることでこの手法を近代化しました。
現在これはドロップ2ヴォイシングとして知られるようになりました。
Ex. 5はメロディーを調和させるのが難しいですが、効果的な方法を示しています。
エヴァンス特有の右手の三連符(今回は四分の三連)に注目してください。